糖尿病と骨粗鬆症との関係?

骨粗鬆症

糖尿病と骨粗鬆症がどのように関係して
いるのか、また骨粗鬆症を招く病気には
どのようなものがあるのか、そして高血
糖だと骨がもろくなることについてご
案内していきたいと思います。

糖尿病と骨粗鬆症の関係

糖尿病は、骨粗鬆症と、とっても深い関係
があります。
まずは、糖尿病についてご説明します。

糖尿病とは?

血液中のブドウ糖(血糖)の量を調節して
いるインスリンが十分に働かなくなったり
分泌量が低下したりして、ブドウ糖が肝臓
や筋肉にうまく取り込めず、血液中に増えて
血糖値が上がったままになる病気です。

ブドウ糖の調整に重要な役目を果たすインス
リンには、骨を形成する骨芽細胞を増やす
働きもあります。
そのため、糖尿病によってインスリンの働き
が悪くなると骨芽細胞は増えず、骨を「つくる」
よりも「壊す」働きの方が強くなり、骨量が
低下し骨粗鬆症になってしまうのです。
さらに、インスリンは腎臓の中で活性型ビタ
ミンDをつくっています。
活性型ビタミンDは、食事で摂ったカルシウム
を腸管から吸収するために必要な栄養素です。
しかし、インスリンが不足すると活性型ビタ
ミンDもつくられにくくなり、カルシウムの
吸収を妨げます。

糖尿病は、インスリンの働きに影響を及ぼすだけ
ではありません。
高血糖の状態が続くことで尿が増えて、カルシウム
の排出も増えるようになります。
そのため、血液中のカルシウム不足を骨から補い、
結果として骨量が減少してしまうのです。
また、糖尿病は骨に含まれるコラーゲンの劣化に
よって骨量だけでなく骨質も低下させ、骨は強さ
やしなやかさを失います。

骨粗鬆症(骨粗しょう症)とは?

健康な人の骨は骨量が多く、密度もしっかりと
保たれていています。
一方、骨粗鬆症は何らかの原因によって、骨量
が著しく減少して骨がスカスカになってしまう
病気です。
この状態では少しの刺激で骨折してしまったり、
骨が体の重みでつぶれてしまうこともあります。
高齢者が骨折をしてしまうと、寝たきりの原因
となり、寿命を縮めてしまうこともあるため、
軽視できない病気です。

骨粗鬆症の原因!
・加齢、遺伝、体質
・カルシウム・ビタミンD・たんぱく質など骨の
 形成に関わる栄養素の不足
・エストロゲン(女性ホルモン)や副甲状腺
 ホルモンなど、ホルモンのアンバランス
・運動不足
・原発性副甲状腺機能亢進症やクッシング症候
 群などの内分泌系の病気
・糖尿病、関節リウマチなどの病気

糖尿病だけじゃない!骨粗鬆症を招く病気!

糖尿病と並んで骨粗鬆症になりやすい病気として、
CKD(慢性腎臓病)があります。
腎臓には、血液中の老廃物をろ過して尿をつく
って排泄するだけでなく、体内の水分や塩分の
調節、赤血球をつくるホルモンの分泌や血圧の
調整など重要な役割を担っています。

そのなかの働きのひとつに、ビタミンDの活性化
があります。
骨をつくるのに必要なカルシウムを効率よく吸収
するために、ビタミンDを「活性型ビタミンD」
に変えるのです。
CKD(慢性腎臓病)を発病すると、腎臓のビタ
ミンDを活性化する力が弱まることで血液中の
カルシウムが減ります。
これを補うために骨からカルシウムが溶け出す
ため、骨がもろくなり骨粗鬆症になってしまう
のです。
そのほか、骨粗鬆症を招く病気に、甲状腺機能
亢進症(バセドウ病など)、副甲状腺機能亢進症、
性腺機能低下症、関節リウマチ、多発性骨髄腫
といった血液疾患などがあります。

糖尿病の人は、骨粗鬆症になりやすい!

年をとって老化すると、誰でも骨はもろくなる
傾向にあり、悪化すると骨粗鬆症(骨粗しょう症)
になる恐れがあります。
それに加え、糖尿病を患っている場合は、さらに
骨粗鬆症を起こしやすくなるということをご存じ
でしょうか。

糖尿病患者さんは、骨折リスクが約2倍高い?

糖尿病患者さんでは、そうでない人と比べて、骨折
リスクが約1.5~2倍ほど高いと言われ、骨粗鬆症に
もなりやすいということが分かってきました。
その原因には、次のようなことが挙げられます。

原因1.インスリンの不足
糖尿病は、血糖値を下げるホルモンである「インス
リン」の分泌量が低下したり、効きが悪くなることで
高血糖状態が続いてしまって起こります。
この「インスリン」は、血糖値を下げる働き以外にも、
骨を作る「骨芽細胞」を増やすという働きがあります。
インスリン分泌が不足している状態では、「骨芽細胞」
が増やせず、健康な骨が形成しづらくなるのです。

原因2.骨を形成するミネラルが排出されやすい
糖尿病が進むと尿の量が増えることがありますが、カル
シウムやマグネシウム、リンなどのミネラルは尿として
排出されやすく、不足がちになります。
ミネラルは骨を作ったり、骨にカルシウムを貯蔵する
働きがあり、不足すると骨密度が下がり、骨がもろく
なりやすくなります。

原因3.「悪玉架橋」が増える
骨のコラーゲンの分子をつなぎ止める「架橋」。
「架橋」には「善玉架橋」と「悪玉架橋」があり、糖尿
病による高血糖は「悪玉架橋」を増やしてしまいます。
「善玉架橋」がコラーゲン繊維を整然とつなぎとめるの
に対し、「悪玉架橋」はコラーゲン繊維を無秩序につな
いでしまいます。
その結果、骨が不均等な状態となり、もろく折れやすく
なってしまうのです。

まとめ

大切なことは、血糖コントロールであります。
意外に知られていない、糖尿病と骨粗鬆症の関係。
糖尿病患者さんが骨粗鬆症を防ぐには、まず基本
治療である血糖コントロールが肝心です。
 食事療法や運動療法をきちんと行い、血糖を良好に
保ちましょう。